3月20日の日本将棋連盟アプリで
菅井竜也五段対佐藤天彦七段という
期待の若手同士の好カードの棋譜中継
がありました。

その対局の中で菅井五段は
私が見たことない面白い構想で
指していたのでご紹介します。

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先手中飛車の新構想1

菅井五段が先手で初手▲5六歩からの中飛車になりました。

先手中飛車を指す方はどのような出だしか
ひと目でわかる局面だと思います。

プロ間でもよく指されている居飛車側の対策のひとつです。

詳しくは「菅井ノート 先手編」や「すぐ勝てる!先手中飛車
などの著書をご覧ください。

次の1手がこの局面で初めて見る手でした。

先手中飛車の新構想2

先手の菅井五段は▲8八飛と回りました。

上述した本や実戦でよく現れる形は
先手だけで言うと、
▲5九飛・▲6六銀・▲7八金・▲7七桂
という陣形を組んで、どこかで
▲7五銀とぶつける筋がよく指されています。

先手中飛車の新構想3

上図から△7四歩、▲8六歩!と進みました。

以下、
同歩、同飛!と進み下図へ。

先手中飛車の新構想4

逆棒銀ではなく、いきなり飛車をぶつけるのが

狙いだったようです。



本譜は、▲8五歩と飛車交換を拒否したのですが、
仮に△8六同飛とすると参考図(下図)が一例です。

【参考図】

先手中飛車の新構想5

△8六同飛、▲同銀、△8七飛、▲8二飛、
△5二金右、▲7八角が一例です。

この手順は2月に行われたA級順位戦
久保・郷田戦を参考にしました。

その将棋は先手久保九段初手▲5六歩の出だしから
向い飛車にしたため、後手の6四銀が5三銀の形に
なっている局面で現れた手順です。

その将棋は久保九段が勝っています。

通常は飛車を先着されて、銀桂両取りになるので
飛車のぶつけは考えづらいのですが、▲8二飛車と
王手で銀取りを受けながら打てるので成立してる
ということなんでしょうね。

先手中飛車の新構想6

▲8六同飛の局面から、
△8五歩、▲8八飛、△2二銀、▲7八金、
△4二金、▲6六銀、△8六歩
と進んだ局面です。

みなさんなら次は何を指しますか?


先手中飛車の新構想7

実戦は▲9六角と打ちました。

以下、
△6九角、▲8三歩、△同飛、▲7四角、
8四飛!、▲6三角成、△8七歩成、▲同飛、
△同飛成、▲同金、△8三飛、▲6四馬
と進み下図へ。

先手中飛車の新構想8

激しく駒がぶつかり飛車交換になりました。

▲8八飛車からいきなり飛車をぶつけて、
積極的に動ける指し方は面白いと感じました。

振り飛車の方が玉は固いので飛車交換は歓迎ですよね。

ちなみに実戦は以下、
△8七飛成、▲4二馬!、△同玉、▲7九金
と進み先手優勢になりました。

結果も先手の菅井五段が勝っています。

最後の守りの金を剥がして、
角を捕獲する手筋は勉強になりますね。