今日はなぜ先手中飛車が流行ってるのか、
私自身が中飛車を勉強する意味も込めて
書きます。

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まずは中飛車が流行している背景を簡単に。

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【藤井システム全盛期】
居玉で攻めるという斬新な発想が
居飛車穴熊に十分対抗できるということで、
藤井システムの四間飛車が大流行。



【ゴキゲン中飛車の登場】
居飛車穴熊側も対策により、
次第に藤井システムも厳しくなります。
※最近、藤井九段が藤井システム指してるので、
 また流行する可能性はあると思います。

そして、2001年に升田幸三賞、2004年には
勝率9割近くを残し勝率1位賞を獲得した
近藤正和六段の活躍もあり、穴熊に組ませない
振り飛車ということでゴキゲン中飛車が注目を浴びます。

居飛車党の棋士が後手番対策として、
採用する方も多くいるほどの影響力でした。



【久保九段の活躍】
後手番のエース戦法として久保九段が
棋王・王将の二冠を取る原動力の戦法
となったのがゴキゲン中飛車です。

しかし、2011年に升田幸三賞を受賞した
超速▲3七銀戦法にだんだんと振り飛車側
が苦戦するようになり、久保二冠は
1年で2つのタイトルを失い、A級陥落
してしまうほどでした。



【左穴熊の登場】
現在ここですね。

近年、1手の差が大きく超速3七銀戦法に対して
先手中飛車自体だったら対抗できるとして
指され始めました。

しかし、相手に相振り飛車にされた時に
あまり思わしくないという状況でした。

居飛車党の棋士が先手中飛車に対して、
相振り飛車で対抗するというのも
ありました。

その相振り飛車に対しては左穴熊が優秀
ということで先手中飛車が流行してます。

藤井九段が2012年の王位戦挑戦の
原動力となった角交換振り飛車と
二分されてるような印象を受けます。

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簡単にといいつつ長くなりました(苦笑)

そして、今回はゴキゲン中飛車の天敵の
超速▲3七銀戦法に対して、1手の差で
でどのように変わるか見ていきます。


超速3七銀戦法1手の違い_1

初手から
▲7六歩、△3四歩、▲2六歩、△5四歩、
▲2五歩、△5二飛、▲6八銀、△5五歩、
▲6八玉、△3三角、▲3六歩、△4二銀、
▲3七銀、△5三銀、▲4六銀、△5四銀
と進んだ局面です。

この局面で次の手番が居飛車側か
振り飛車側かによる違いを見ていきます。

まずは居飛車側の手番の場合です。

以下、
▲3五歩、△同歩、▲同銀、△4五銀、
▲3四歩、△2二角、▲2四歩、△同歩、
▲同飛、△3二金、▲7八玉、△2三歩、
▲2六飛と進み下図へ。

超速3七銀戦法1手の違い_3

こうなっては先手の方が模様が良く、
先手指しやすい局面だと思います。

この後、先手は▲5八金右や
▲6八銀、▲3七桂などと
自然に良い形を作れます。

タイミングを見計らって、
▲2四歩、△同歩、▲同銀、△4四角、
▲3五銀、△同角、▲2一飛成という
攻め筋なども残っています。

一方後手は、どこかで△5六歩と仕掛けても
常に▲2二角成、△同金と味の悪い形
になってしまうので苦労が多そうです。

超速3七銀戦法1手の違い_4

今度は先手が振り飛車側の場合を見ていきます。

以下、
▲4五銀、△7五歩、▲同歩、△同銀、
▲5四歩と進み下図へ。

超速3七銀戦法1手の違い_5

居飛車側が先手番のときと
同じように攻めますが、
振り飛車側が1手早く
攻めれるのが大きいです。

以下、
△同歩、▲2二角成、△同銀、▲5四銀、
△3二玉、▲4三銀成、△同玉、▲5四角、
△3三玉、▲2一角成と進み下図へ。

超速3七銀戦法1手の違い_6

△3二玉は▲5三角の王手銀取りを受けるとともに
玉を戦場となっている5筋から遠ざける手です。

▲2一角成となった局面は、
次に▲5三飛成や▲4五桂など
厳しい手が残り先手優勢です。

超速3七銀戦法1手の違い_7

先手が▲5四歩と仕掛けた手に対して、
△同歩ではなく、△7七角成と
後手から角交換して、

以下、
▲同桂、△5四歩、▲同銀、△4四角、
▲6五桂、△5二歩、▲5三歩、△3二玉、
▲5二歩成、△同金右、▲5三桂成と
なった局面です。

形勢は先手も十分指せる局面ではないでしょうか。

今回ご紹介した手順は
一例に過ぎませんが、
超速3七銀戦法に対して、
1手の違いが大きいということが
伝われば嬉しく思います。

今回の記事を書くにあたって
一部、「久保流 最強先手振り飛車」を
参考にさせていただきました。