先日、来年3月~4月に行われる
電王戦出場の将棋ソフトを決める
電王トーナメントが行われました。

その決勝戦の棋譜をご覧ください。
終盤にドラマがある将棋でした。

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決勝戦に勝ち上がったのはAWAKEとponanza。

AWAKEの開発者は元奨励会員の巨瀬亮一さん。
ponanzaの開発者は山本一成さん。

巨瀬亮一さんのことをネットで調べてみたところ、
阿部健治郎五段と同期入会で奨励会1級で退会されてるようです。

奨励会1級ともなると自身もかなりの実力者なんでしょうね。

決勝戦の将棋は力戦の相居飛車になりました。


電王トーナメント決勝_1
初手から
▲7六歩、△3二金、▲2六歩、△6二銀、
▲2五歩、△8四歩、▲6八銀、△3四歩、
▲7七銀、△3三角、▲4八銀、△4一玉、
▲5六歩、△4二銀、▲7九角、△6四歩、
▲3六歩、△6三銀、▲7八金、△8五歩
と進んだ局面です。

2手目△3二金は比較的珍しい手ですね。
人対人なら振り飛車を誘ってるような指し方
でしょうか。

後手のponanzaが△6四歩から△6三銀というのは
右四間飛車を含みにしてるんでしょうかね。
△5四歩から5三銀という駒組みもあると思います。

ponanzaがどういう考えで△6三銀型を選んだのか
個人的には興味深いところです。

先手としては▲6六歩と突くと争点になってしまうので
▲6六歩とはしづらい将棋になったかなと感じました。

上図から以下、
▲3七銀、△5四銀、▲3五歩、△同 歩、
▲同 角、△8六歩、▲同 歩、△8五歩、
▲3六銀、△8六歩、▲8八歩、△4四歩、
▲6九玉、△3四歩、▲6八角、△6五銀
▲3五歩、△4三銀、▲3四歩、△同 銀
と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_2
△8六歩から△8五歩の継歩攻めは、
▲3五角の時に常に狙いたい筋です。

知らない方は是非ご記憶頂きたい筋ですね。

私自身も昔この筋でいきなり敗勢になり
負けたこともあります(苦笑)

十字飛車を喰らってはまずいので、
△8五歩には手抜きで▲3六銀と好形
を作りつつ、角に紐を付けました。

以下、
▲5五歩、△3一玉、▲5八飛、△5二金、
▲7九玉、△4三金右 ▲3五歩、△4五銀
▲同 銀、△同 歩、▲6六歩
と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_3
▲7九玉(下図の参考図)のところで、
▲7五歩として銀バサミを狙うと
どうなるんでしょうね?

銀バサミを狙った瞬間が怖いですが、
暴れられてダメということなんでしょうかね。

具体的な手順は私にはよくわかりません。

上図からは一気に激しい将棋となりました。

<参考図>
電王トーナメント決勝_3_参考図
先手からは次に△6六歩の狙いがあるので、
後手は忙しくここから暴れてくるのでしょう。
(△4五銀で銀交換をして8七銀狙いとかかな?)

具体的な手順はわかりませんが苦笑


電王トーナメント決勝_4
銀を逃げずに△8七銀と進みました。
過激な手ですね・・・。

実戦は以下、
▲同 歩、△同歩成、▲同 金、△4六歩、
▲同 歩、△8七飛成 ▲7八銀、△7六銀
▲8七銀、△同銀成
と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_5
△8七銀に対して▲6五歩だとどうなるんでしょうね。
激指13も最善手として▲同歩を推奨してるので、
▲同歩が最善ということなんでしょうか。

▲6五歩の場合の激指13の読み筋は、
△7八銀成、▲同玉、△8七金、
▲6七玉、△6五歩という感じになっています。

この変化も点数は微差のようです。

激指13の読み筋を見ていると、一度▲同歩と
取ってから、龍を作らせるもののかな駒を打って
弾いて、龍を逃げさせたときに
▲6五歩と取れるという読み筋のようです。

実戦はそのような展開になっていませんが(笑)

以下、
▲7八銀、△同成銀、▲同 玉、△8八歩、
▲同 銀、△7六金、▲5六銀、△8六歩、
▲8七歩、△4七銀
と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_6
▲7八銀に対して△7六銀として千日手を
狙う筋もあったようです。
(△7六銀に▲同銀とすると▲8八金があるので、
▲8七銀、△同銀成となり、以下、千日手コース。)

後手のponanzaは、自分が有利と判断してなのか
千日手を回避した格好になりました。

▲5六銀のところで▲6七銀と打つと
△6九銀で痺れてしまいます。

▲8七歩は後手の△8七銀を防いだ手です。
敵の打ちたいところに打ての格言通りの手ですね。

上図から、
▲同 銀、△6七銀、▲6九玉、△8七歩成
▲同 銀、△同 金、▲7九歩、△7八銀打、
▲5九玉、△1五角、▲3七銀
と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_7
龍を切ってしまって攻めが続くのかなと

思ったのですが、ここまで来ると
うまく攻めが繋がっている印象を受けました。
攻め上手ですね。

以下、
△5八銀成、▲同 玉、△3七角成、▲同 桂、
△6七銀打、▲4八玉、△6八銀不成、▲7八歩、
△2九飛、▲3八銀、△5七角、▲4七玉、
△2六飛成と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_8
最終手の△2六飛成は
詰めろです。

先手はなかなか手番が回ってこなくて、
後手が攻めだしてからずっと点数上は
後手有利のような感じだったようです。

以下、
▲3六銀、△6六角成 ▲5八金、△6九銀不成、
▲5九金、△2八龍と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_9
ここで詰めろがはずれて
一息ついた感じでしょうか。

この局面で▲6九金と取ると
△6五馬が厳しいようです。

実戦は以下、
▲5一飛、△4一歩、▲9六角
と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_10
最終手の▲9六角直後あたりに
先手のAWAKEの点数が
一気に上昇したとのことでした。

以下、
△4二金寄 ▲2四歩、△6五馬、▲5六銀、
△同 馬、▲同 玉、△3八龍、▲8七角、
△3七龍、▲4三角成と進み下図へ。


電王トーナメント決勝_11
遠山五段によると最終手の▲4三角成を
ponanzaはこの手を軽視していたようで、
この辺りで点数も一気に入れ替わったようです。

▲4三角成に対して△6五銀は、
▲4五玉、△3三桂打、▲4四玉、△4三金、
▲同玉、△4二銀、▲5二玉、△4三角、
▲6二玉、△5一銀、▲7一玉、△8七龍、
▲7二金でどうかという解説でした。

その変化を激指13にかけると先手優勢でした。

実戦は以下、
△6七銀、▲4五玉、△4三金、▲2二金、
△同 玉、▲5二飛成と進みました。


電王トーナメント決勝_12
▲2二金から▲5二飛成が良い手で
どうやらこれで勝負ありのようです。

▲5二飛成に対して、
△4二金打ちは、▲同龍、
△同金、▲2三歩成以下詰み。

△4二金は、▲同龍、
▲2三歩成、△同玉、▲4一角以下詰み。

ということで実戦は、
▲5二飛成に対して△4二歩と進みましたが、
▲2三歩成以下、先手の勝ちとなりました。

後手の最後のほうの指し手は水平線効果で
王手してる間は自分の負けはないという発想で
手数を伸ばしてるだけのような手です。

▲9六角~▲4三角成辺りで
一気に点数が大きく動くという
終盤にドラマがあった将棋でした。

【棋譜】