囲碁将棋チャンネルの「将棋連盟が選ぶ注目の一局」
という番組で小倉七段の相振り飛車の戦型からの
後手穴熊に対する対策がとても参考になると思うので
ご紹介します。

スポンサードリンク


小倉七段は三段リーグ1期抜けしたという
すごい記録を持った振り飛車党で
ノーマル三間飛車を得意とした棋士です。

第21期銀河戦では、2015年電王戦出場の
斎藤五段らを破り、4連勝で最多連勝となり、
決勝トーナメント出場をした早指も強い棋士です。

穴熊対策には美濃で低く囲って、石田流にするという
対策をしており、中田七段のような独特な指し方より
アマチュアには小倉流の穴熊対策のほうが参考に
しやすいのかなと思います。

小倉七段が穴熊対策だけに絞って書いた
この1冊は必見です。

私のバイブル書のうちの1つでもあります。

下町流三間飛車―居飛穴攻略の新研究 (振り飛車の真髄)



順位戦C級2組より先手小倉七段、
後手佐藤和俊五段の1局です。

小倉流相振り飛車後手穴熊対策_1

初手から
▲7六歩、△3四歩、▲6六歩、△3二飛、
▲6八銀、△6二玉、▲6七銀、△7二玉、
▲7七角、△8二玉、▲8八飛、△7二金、
▲8六歩、△9二香、▲8五歩、△9一玉
と進んだ局面です。

最近は▲6六歩と止める出だしには、
△3二飛とする棋士が非常に多いように感じます。

佐藤天七段や佐々木勇気五段など居飛車党の
棋士ですら△3二飛とするのも見かけたりします。

相振り飛車の菅井流が登場してから、この形の
後手は積極的に攻めれて勝ちやすいとの認識が
あるのだと思います。

藤倉五段がドル箱戦法とも言ったりしてましたね。

先手はオーソドックスな指し方です。
後手は一目散に穴熊にするのが流行りのと解説でした。

後手としては手数のかかる穴熊をするので、囲いを優先
しつつ、先手の囲い方を見て攻めの形を考えたいと
いうことで、一目散に玉を囲ってる意味もあるのだと思います。

以下、
▲9六歩、△4二銀、▲9五歩、△8二銀、
▲4八玉、△5一金、▲5八金左 △3三銀
▲8四歩、△同 歩、▲同 飛、△8三歩、
▲8七飛と進み下図へ。

小倉流相振り飛車後手穴熊対策_2

後手の△3三銀はよく見る指し方ですね。

△4四歩と角道を止めずに、角筋を通したまま
△4四銀から積極的に動いていく狙いです。

一方、先手の▲8七飛が小倉流その1です。
この手をみたとき「なるほど!」って思いました。

▲8七飛は部分的に良い形ではないのですが、
本譜でも後に現れる端に桂を跳ねたときに、角に
紐をつけていたり、飛車を角筋のラインからはずしてるなど
の意味があるのだと思います。

以下、
△3五歩、▲7五歩、△4四銀、▲3八銀、
△3六歩、▲同 歩、△同 飛、▲3七歩、
△3四飛、▲9七桂と進み下図へ。

小倉流相振り飛車後手穴熊対策_3

▲4八玉のまま攻めるのが小倉流その2です。

解説の横山六段によると小倉七段は、
▲3九玉などと囲わずに▲4八玉のまま
攻めることが多いとのことです。
(対穴熊のみなのかそれ以外もなのかは不明。)

仮に▲2八玉まで囲ってしまうと、
△3六歩、▲同歩、△5五角みたいなコビン攻めが気になります。

私自身の認識ですが、相振り飛車において、
高美濃や矢倉にできない場合は、
▲2八玉まで囲うのは慎重にならないといけません。

逆に高美濃や矢倉の場合は組めるなら、
迷わず▲2八玉まで囲います。

以下、
△4五銀、▲8五桂、△6二金上、▲7六銀、
△5五角と進み下図へ。

小倉流相振り飛車後手穴熊対策_4

後手の佐藤五段は次に△3六歩と攻めようとしてますね。
この場合は▲4八玉が非常に生きているように思えます。

通常、相振り飛車だと▲3九ぐらいまで囲うことが多いですが、
この形だと、▲3九玉よりも▲4八玉のほうが勝るように感じます。

▲4八玉のほうが玉が3筋にも利いてますし、
場合によっては左のほうに逃げ出すこともできます。
▲3九玉型だと後手の飛車が直通なのも気になります。

以下、
▲6七金、△3六歩、▲5六歩、△3三角、
▲3六歩、△2四角、▲8九飛、△3三桂、
▲9四歩、△同 歩、▲9三歩、△同 桂、
▲同桂成、△同 香、▲4六桂
と進み下図へ。


小倉流相振り飛車後手穴熊対策_5

先手の小倉七段は相手が攻めようとしてくるタイミングで、
端攻めにより桂交換をして、▲4六桂と打ちました。

相手の玉を薄くして、攻め駒を攻めるという
とても参考になる手順だと思いました。

以下、
△同 銀、▲同 歩、△同 角、▲3七銀打、
△2四角、▲4七銀、△4五桂打、▲4六銀右
△3六飛と進み下図へ。

小倉流相振り飛車後手穴熊対策_6

後手の佐藤五段は猛攻を仕掛けてきました。
非常に穴熊らしい指し方ですね。

しかし、ここからの小倉七段の対応が
とても上手でした。

良かったら考えてみてください。


小倉流相振り飛車後手穴熊対策_7

上図から
▲3五歩、△同 角、▲4五銀
と進みました。

▲3五歩と角を呼び込んでから
桂を取るのがとても上手い受けでした。

以下、
△同 桂、▲3六銀、△4六角、▲3一飛、
△6一桂と進み下図へ。

小倉流相振り飛車後手穴熊対策_8

瞬間的に先手飛車得になってますね。
(歩切れにはなってますが。)

飛車の王手に対して、△8一桂と受けるのは
玉が狭くなるとの解説でした。

飛車の王手に対してはできるだけ、
遠くで合駒するというのが基本的な考え方です。

この場合は玉の広さという意味もあるので、
△6一桂が自然な応手といったところでしょうか。

以下、
▲4五銀、△1九角成、▲5七玉、△2九馬、
▲5八金と進み下図へ。


小倉流相振り飛車後手穴熊対策_9

▲5七玉は力強い一手ですね。
▲5七玉から▲5八金は参考になる受けですね。

▲5七玉は歩切れなので、
△4六香を受けた意味もあります。

以下は、佐藤五段も勝負手を放ったりしましたが、
最後は小倉七段が端攻めをして押し切りました。

小倉流の▲8七飛や▲4八玉の構想や、
上手い受けがとても印象に残る一局でした。

【棋譜】