【図1】
20150512久保佐藤_1
5月12日に行われた第28期竜王戦1組の
久保利明九段対佐藤天彦八段の将棋で
興味深い戦型だったのでご紹介します。

久保九段は少し工夫した出だしを見せていますね。
▲1六歩は藤井システムも視野に入れた手だと
思います。局面自体は藤井システム全盛時代にも
あったはずですが、同じ局面でも今と昔では、
ぜんぜん見方が違うのは面白いところです笑

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【図2】
20150512久保佐藤_2
図1より
△4二玉、▲4八玉、△3二玉、▲3八玉
△6二銀、▲7五歩、△1四歩、▲2八玉
△8五歩、▲7八飛、△6四歩、▲3八銀
△6三銀、▲7六飛
と進んだ局面です。

久保九段が最近よく採用している形になりました。
前期のA級順位戦でもこの戦法で勝ち星をたくさん
稼いだ印象があります。

何気ない駒組みですが、▲7五歩を見て角交換型の
将棋になりそうなので、△1四歩と受けたのは細かい
ところかなと思いました。
先手としても▲7五歩としてから穴熊には組みにくいですし。

以下、
△8八角成  ▲同 銀、△2二銀、▲7七桂
と進み下図へ。

【図3】
20150512久保佐藤_3
▲7六飛は次に▲3六飛を見せられてるので、
後手からの△8八角成は当然の1手です。

最終手の▲7七桂が久保九段が用意してきた工夫の
1手で一番注目してほしい手です。
▲7七銀型が主流なのでこの手は非常に珍しいです。
久保九段は毎局少しずつ細かいところで工夫を入れるので、
ファンとしてはそのあたりを見るのがとても楽しみです。

以下、
△7二金、▲9六角
と進み下図へ。

【図3】
20150512久保佐藤_4
▲9六角が▲7七桂からの継続の手です。
次に▲8五角や▲8五珪を狙っています。
※▲9六角のわかりやすい狙いについては
  過去に記事を書いてますので、コチラをどうぞ。

以下、
△5四角、▲5六飛、△7四歩、▲8五桂
△9四歩
と進み下図へ。

【図4】
20150512久保佐藤_5
後手は△5四角で飛車を移動させてから、、
△7四歩と位に反発するのは自然な指し手です。
△7四歩に▲同歩では△同銀で抑え込まれて
しまいそうなので、▲8五珪と指しました。
しばらくは先手が上手く捌けるか、後手が上手く
抑え込めるかの攻防が続きます。

最終手の△9四歩のところで、△7五歩とするのは、
一例として、以下、
▲7四歩、△同 銀、▲5四飛、△同 歩
▲9三桂成、△8四飛、▲9五角
となり参考図1へ。

【参考図1】
20150512久保佐藤_参考図1
▲7四歩と垂らすのが覚えておきたい手筋です。
▲9五角とした局面は、形勢こそ難しいと思いますが、
先手としては、攻めが続きそうな格好になっているので
これなら先手は不満なしです。

以下一例は、
△9三香、▲8四角、△9六香、▲6一飛
という感じです。

【図5】
20150512久保佐藤_6
図4より、
▲7四歩、△9五歩、▲7三歩成  △同 桂
▲同桂成、△同 金、▲6三角成  △同 金
▲7五桂、△7三金、▲7四歩、△7二金
▲7三銀
と進んだ局面です。

長手数進めましたが、ほぼ一直線のような流れです。
パッと見は先手が好調に攻めてるように見えますが、
形勢自体は難しいみたいですね。

【図6】
20150512久保佐藤_7
そして図5より10数手進んだ終盤の局面です。
先手の攻めが繋がるか後手がうまく攻めを
止めるかという局面が続いていました。

次の後手の1手がプロならではの芸と感じました。

良かったら考えてみてください。


【図7】
20150512久保佐藤_8
△5四飛
です!

これが両者ともかなり前の局面からこの手を
読んでいたようで、これがプロの感覚なのですね。
これぞプロの芸と感じました。

この後は佐藤八段が端から反撃に転じ、
佐藤八段が勝ちました。

佐藤天彦八段の受けの強さが光る1局だったと感じました。
久保九段の▲7七桂からの指し方はプロレベルでは私には
わかりませんが、アマチュア同士であれば十分通じると
思うので興味のある方は是非お試しください。